本当、馬鹿だよ。
私、着けれないって言ったじゃん。
『これもあげる』
十和はそう言って、自分が身につけていたシルバーのネックレスを外した。
何て意味か解らない英語が並ぶ、小さな長方形のプレートの隣に、たった今通された小さなシルバーリング。
『指じゃなくていいから。 アユに何か身につけてほしかったんだ』
……嬉しい。
人から物を貰う事が、こんなに嬉しい事だなんて、初めて知った。
それに、私が一番気に入ったリングを、十和が間違う事なく買ってきた事。
私の視線の先を、ちゃんと見ててくれたって事。
それが、一番嬉しいの。
『薬指はしばらく空けといてよ』
『え?』
どういう事?
『アユがあの店から解放されたら、絶対に買うから。 そこに入るリングを』
それって。
それって、もしかして。
そんな事言われたら……
『十和の未来に私がいるって……事?』
そんな自信過剰な事、思っちゃうよ。
『俺も23になるし。 最後の恋愛はアユと……って思うんだけど。 迷惑?』
迷惑だなんて、そんな、そんな……
『私も、そう出来たら嬉しい』
十和を最初で最後の恋人に……
そんな幸せは、他にないよ。
『じゃあ、決まりだ。 一緒に幸せになろうな!』
牧師も、参列者もいない。
親も兄弟も、誰もいない。
だけど、私達は人知れず誓った。
永遠に続く幸せを……

