十和に恋をして、変わった事。
少しだけ、おしゃれに気を使うようになった。
十和に会う日くらい、ジーパンを卒業しようと思った。
少しでも可愛く見えるよう、メイクを頑張ってみた。
こんな風に、普通の生活が出来るなんて事、
夢にも思わなかったの……
『なにそれ。 欲しいの?』
興味本位で立ち寄ってみた雑貨屋さん。
ガラスケースの中には、沢山のシルバーリングが並んでいた。
『可愛いなって、見てたの』
可愛すぎるくらいのシルバーリング達。
欲しいけど、まだ給料入ってないしなぁ。
なんて思っていたら、十和が冗談っぽく笑って、
『薬指に着けてくれるなら、買ってあげる』
なんて言った。
『それヤバいよ。 指輪の形に日焼けでもしたらシャレになんないし』
『ふーん、残念』
うん。
私も残念。
中学ん時とか憧れてたんだよね。
薬指のリング。
『次行こっか。 俺、腹減っちゃった』
『あ、うん』
またいつか、2人で買いに来れたらいいな……
『どこで食べるの? 十和は何が好き?』
可笑しくて笑っちゃう。
私、十和の事なーんにも知らない。
好きな食べ物も、趣味も特技も。
『んー、アユが好き』
『……馬鹿みたい』
恥ずかしげもなく、よく言うよ。
ってか、食べ物の話だよ。
『馬鹿だよ、俺。 言われ慣れてるし』
あ、開き直った。
『馬鹿だから、無駄だってわかってても、こんなん買っちゃった』
え? あ。
それ……
『アユの見てたの、これだろ?』
さっきの指輪……

