空色(全242話)


十和に恋をして、変わった事。
少しだけ、おしゃれに気を使うようになった。

十和に会う日くらい、ジーパンを卒業しようと思った。
少しでも可愛く見えるよう、メイクを頑張ってみた。

こんな風に、普通の生活が出来るなんて事、
夢にも思わなかったの……



『なにそれ。 欲しいの?』

興味本位で立ち寄ってみた雑貨屋さん。
ガラスケースの中には、沢山のシルバーリングが並んでいた。

『可愛いなって、見てたの』

可愛すぎるくらいのシルバーリング達。
欲しいけど、まだ給料入ってないしなぁ。

なんて思っていたら、十和が冗談っぽく笑って、

『薬指に着けてくれるなら、買ってあげる』

なんて言った。

『それヤバいよ。 指輪の形に日焼けでもしたらシャレになんないし』

『ふーん、残念』

うん。
私も残念。

中学ん時とか憧れてたんだよね。
薬指のリング。

『次行こっか。 俺、腹減っちゃった』

『あ、うん』

またいつか、2人で買いに来れたらいいな……





『どこで食べるの? 十和は何が好き?』

可笑しくて笑っちゃう。
私、十和の事なーんにも知らない。

好きな食べ物も、趣味も特技も。

『んー、アユが好き』

『……馬鹿みたい』

恥ずかしげもなく、よく言うよ。
ってか、食べ物の話だよ。

『馬鹿だよ、俺。 言われ慣れてるし』

あ、開き直った。

『馬鹿だから、無駄だってわかってても、こんなん買っちゃった』

え? あ。
それ……

『アユの見てたの、これだろ?』

さっきの指輪……