【一緒に辞めよ】
私の誘いに、美香はゆっくりと首を振った。
『どうして?』
どうしてなの!?
あんなに辞めたがっていたじゃない。
オーナーに騙されたって、泣いた日もあったじゃない。
あんな店で働き続ける理由なんて……
『私は、幸成くんを放っておけないの』
……あ。
そうか、美香にとって幸成は、私にとっての十和だ。
見捨てていけるわけない。
『ほら、この間の事で幸成くんの立場、ヤバくなっちゃったしさ』
ふふっと笑ってみせる美香。
なんだか大人びたような、寂しげな顔。
急に美香が美香じゃないような気がして、悲しくなった。
十和に恋してしまった私だから、美香を応援したい。
でも、
やる瀬ない気分になるのは、きっと、
【俺が欲しいのはアユだけだ】
そう言った幸成の、私に対する気持ちに、嘘がない事を知ってしまったからだろう……

