久しぶりのBabyDoll。
休み明けは、いつも入りづらく感じる。
藤原は、怒っていないか。
十和と会った事がバレていないか。
考えれば考える程、店へ踏み込めない。
『アユー! 大変だよー!』
そんな私を出迎えてくれたのは、血相を変えた美香だった。
『大変って?』
一瞬、十和の事かと思い、声が上擦る。
『アユ、奈美と並んじゃってるよ!』
奈美?
『どういう事?』
『だから、アユと奈美の売上が同じなの!』
美香は少し興奮したように私の肩を掴む。
ミシミシと骨がきしむ痛みに堪らず、美香を振り払った。
奈美は私達のお店で指名率、売上共にトップにいる娘(コ)だ。
そんな娘(コ)に私が並ぶなんて事、あっていいわけがない。
『奈美も相当悔しいのか、物に当たり散らしちゃってさー』
それヤバイよ。
ますます店に出たくなくなる。
『アユちゃん、指名入ったよー』
と、その時。
店の奥から藤原の声がした。
とりあえず出勤しなくては。
藤原の反感までかってしまう。
急いで店内に入り、待機室のロッカーに荷物を突っ込んだ。
いつも部屋に持っていくポーチだけを手に、衣類も全て脱ぎ捨てていく。
『調子乗ってんじゃねーよ』
『奈美さんの邪魔すんなっての』
決して小さいとは思えない外野から複数の突っ込み。
情けない事に私が少し睨んだだけで、目を反らしてしまう。
弱いならやるなってーの。
女達が違う会話を始めた事を確認し、私は待機室を後にした。

