空色(全242話)


休みは合計7日。
そのうち十和と会ったのは、あの日だけ。

メールは2回。
電話は1回もない。

それとは一切関係ないだろうけど、朝から苛々が治まらなかった。


『おはようございます』

黒色セダンがアパートの前に止まる。
それだけで艶(ツヤ)のあるボディーを蹴ってやりたくなった。

それを運転する幸成にも殴り掛かってしまいそうな程。

生理だったからかな。
どうしても気分が優(スグ)れない。

何日も続く雨の日の憂鬱(ユウウツ)に似ている。


『休みはどうでした? 疲れとれました?』

バックミラー越しに言う幸成に、溜め息が出る。

休みなんか毎日ゴロゴロしてた。
余計に疲れた気もするし、全然楽しくなかった。

でも仕事よりはマシか、なんて思ったり。

なんてつまらない人生なんだろう。

『普通にしてたよ。 特にした事もないし』

窓の外を見ながら言うと、微かにクスクスと笑う声がした。

『ずっと思ってたんすけど、生きてて楽しいっすか?』

……は?
何でそんな事言われなきゃいけないの?

『ものすごいつまらなさそうな目ぇしてますよね』

それはあんだだよ、幸成。
つまらなそうな、死んだ目をしてる。
それが、あんたの第一印象だし、今もよく見る。

『ま、俺もよく言われるんすけどね』

なんだ。
自分で解ってんじゃん。

何だか拍子抜けしてしまって、張り詰めていた緊張を解した。

幸成の事は相変わらず苦手だ。
自分勝手で傲慢(ゴウマン)で、
何を考えているのか解らない。

だけどそれは、他人から見た私かも知れない。
冷たくて自分勝手で……

幸成は自分に似ている。
最近よく、そう思うようになってきた。