空色(全242話)


触れられた所が熱く、体全体で十和を感じる。
こんな事は初めてで、どうしていいかわからない。

『ごめんって、そんな怒んないでよ』

苦笑しながら私を地面に返す十和。

平然と笑うその姿に少し苛立ちを感じながら、乱れた衣服を整えた。

私だけが動揺してる。
その事実が、無性に腹立たしかった。

と言っても、このヒールじゃ歩きづらいし、
いっそのこと脱いでしまったら楽になるかも。

『アユ、おいで』

足元を何とかしようと試行錯誤する私に、手が差し延べられる。
不信に思いながらも手を伸ばすと、そのまま十和の腕へ絡めるように誘導された。

『こっちのがマシだろ?』

マシって言うか……
さっきと変わらないくらい、心臓がバクバクいってるよ。

『き、緊張する…… こういうのした事ないから』

でも、嫌じゃない。

『アユ可愛ー……』

フハッと笑われ、ハッと我に返る。

何言ってんの私。
客とセックスしてんじゃん。

キスだって腕組みだって、
ううん、それ以上だってしてるじゃないの。

今更こんな事で緊張する事ないんだよ。

『ほんと可愛いから、俺、アユにマジになっちゃうかもよ?』

『……馬鹿』

冗談か本気かわかんない。
ってか「マジになるかも」って何?

マジになってよ。
本気で告白してよ。

『……え?』

『ん? どうした?』

私……
今、何を思った?