空色(全242話)


全て人のせいにしてきた。

不幸なのは父のせい。
こうなったのは、今まで会った人間達が悪い。

いつだって、そう思ってきた。
今だって、私をBabyDollに連れてきた藤原が悪いって思ってる。

どうして十和のように前向きになれなかったんだろう。
前向きになれたなら、何か変わったかな……




『ご到着~』

踏み込んだパーキングブレーキがギギッと音を起てる。
窓は軽くスモークがかかっていて、残念ながら景色は鮮やかに見えない。

早く見たい。
早く降りたい。

『降りていいよ? 待ちきれない顔してる』

十和はクスッと笑うと、ドアロックを解除してくれた。

『う……わぁッ』

辺り一面、スカイブルー。
光のカーテンのかかった海はキラキラと輝いていた。

『上も下も……空みたい!』

凄い。
こんな綺麗な場所、他にないよ。

『休憩所まで歩く?』

『休憩所?』

『夏は海の家で賑やかいんだけど、今は無人なんだ』

海の家、か。
昔、家族で行った海にもあったな。

賑やかで白い砂浜に似合う、ブルーの建物。

「また来ようね」とパパと約束したっけ……

『ね、行こう?』

にっこりと微笑む十和につられ、砂浜に足を踏み入れた。

『あッ』

しまった。
ピンヒールが砂に刺さって、

『大丈夫? ごめん、ヒールあるの知らなくて』

ううん、私が悪い。
行き先が海だと知っていたのに、こんな靴を履いてきてしまったから。

『大丈夫だから』

申し訳なさそうに手を差し延べる十和にそう言って、体勢を直す。
と、その時だった。

『きゃあッ!!』

十和の力強い腕に抱き上げられたのは……

『ちょッ 何して!』

『休憩所まで連れてってあげる。 歩けないだろ?』

そ、そんな平然と!?

『べ、別に平気だってば。 ってかそんな事されても困る!』

顔が熱くて、体も熱くて。
心臓だって何だか落ち着きないんだもの。

『早く下ろしてってば』

セックスより緊張するなんて、
有り得ない……