僕が東京に戻って来た時には、秋も過ぎて、冬が始まろうとしていた。

もうじきクリスマス。


このオフィスビルの1階ホールには、沢山のイルミネーションと供に、
大きいクリスマスツリーが飾り付けられていた。

そのツリーが世間の話題になっていて、毎日大勢のカップルがビルを訪れている。

マークに言い切ったのに、僕はまだ外山さんに連絡をしていない。

意気地なしだ。

別の世界の僕を外山さんは受け入れてくれるのだろうか。

そもそも1年半も離れていたのだ。

今更また現れて何なの?

なんて言われたら、流石の僕だって凹む。

学校へ復学しようとも考えたけど、クリスマスと供に僕の二十歳の誕生日がやってくる。

守り石を持つ少女を探す事と供に、この世界のことを知るのに学びの場所は最適だった。

僕は、戻る選択をしなかった。

その代わり僕は、ずっと断り続けていた、雑誌のインタビューを受けた。


これまでも散々オファーがあった。

しかし、社員にすらあまり姿を見せる事をして来なかった僕は、全て断ってきた。

だから、実際に現れた僕があまりに若いものだから、記者の皆も驚いていた。

その雑誌を外山さんが見るとは限らない。

それでも、きっと外山さんの元に届くと僕は信じている。

そう思って、僕は毎日同じ時間にツリーを見上げる。