濡れなかったが、その代わりに見たことのない景色が広がっていた。

「ママ~!!」

少女は泣き叫ぶ。

どの位の時間泣いただろう。

「お前、迷子か?」

森の茂みから、そう言って現れたゴールドの髪の色をした少年。

少年の耳には赤いピアスが光っている。

少年は、手に持っていた弓矢を地面に置くと、泣きやまない少女に近づき頭をポンポンとなでた。

「大丈夫?」
「・・・うん。」

少女が泣き止むと、少年はにっこり笑う。

少女は、その笑顔に顔を赤らめる。

「勝手に行ってしまわれたら困ります!!」

森から二人の男が現れた。
その手にも、大きな弓矢が握られていた。

「ごめんなさい。獲物に逃げられちゃった!でも・・・」

少年は、少女に視線を送る。

「おや?迷子ですか?」
「こんな森の奥で?」

大人の男二人は、少女に近づく。

「黒髪?どうやら、ホントに迷い子のようですね・・・。」
「たまにいるんですよね・・・誰かの痕跡から偶然こちらに来てしまう者が」

男達はそういうと地面に円形の魔方陣を描く。
そして、少女をその真ん中に立たせた。

「もう、こっちに来るなよ?」
コクン・・・小さく頷く少女。

足元の魔方陣が輝きだした。
少年が思い出したように問う。

「あ・・・お前!名前は!?・・・僕は!」