中間テストも終わってみると、貼りだされた順位表のトップには、坂上君の名前があった。

勉強もスポーツも優秀な坂上君のファンは、ますます増えていった。

でも、それに伴って妙な噂も流れてくるようになった。

「なんかね?坂上君からお茶に誘われた女の子がいるみたいよ?」

クレープを片手に頬張りながら、そう言うのは夢花。


学校の最寄り駅前にあるクレープ屋で、放課後のひと時を過ごすのも私たちの日常のひとつ。

「まぁ 坂上君だって女子の一人や二人誘うことだってあるんじゃない?」

私は、夢花に言われた言葉の動揺を隠しながら、クレープに乗っているフルーツを口に運ぶ。

「それが、一人や二人じゃないみたいよ?」

思わずフルーツを落としそうになる。

あの坂上君が、女の子とデート?


十分に有り得る事であり、有り得ない事でもあった。

普通のイケメン男子高生ならば、有り得るだろう。


しかし、私だけが知っている彼は、シモンドの社長であり、忙しい身のハズ。

私がいるクレープ屋から街を見渡せば、シモンドの広告が眼に入る。

「でも、誘われるのは1回なんだって」
「え?1回?」
「2回目は、今の所無いんだってさ」

それは、気になって1回誘ったけど違うから2回目は無いっていう単純な事なのだろう。

「だから、きっと2回目誘われた子が、彼女候補の可能性が高いってことになるよね?」

夢花は、目を輝かせて推測する。