理事長室へ着き、私はノックもせずに入る。
まあいつもしてないしね。
『純くん、また上靴なくなってた』
すると純くんは
「またかよ、しょうがねーなぁ」
と笑いながら上靴をくれた。
翠ケ丘高校の理事長、谷崎純一。
純くんは園川組で、お父さんの元右腕。
今はもう年齢的に幹部、くらいかな。
だから前から知ってて、純くんって呼んでる。
『ありがと、また上靴買っといてね』
「バカお前自分で買えよ」
『いいじゃん、金持ちなんでしょ』
「...ったく、美希にはかなわねぇな」
なんて話をしてたら朝のHRが始まりそう。
『じゃあ行くね』
「おう、頑張れよ」
純くんに手を振って理事長室を出た。

