他にも、たくさんの事を覚えている。


伊織と過ごした日々は、いつも楽しく幸せだった。




そんなある日、伊織が、


「僕と別れてくれ」


と言った。


「えっ…… どうして? 他に好きな人が出来たの? それとも私の事、嫌いになった?」


「……」


「ねぇ、答えてよ! 何か言ってよ! お願い……」


「ごめん」


と言い、伊織は去っていった。


私は、その場で泣き崩れた。