風花が舞う。
白いその花が黄昏の光に照らされながら落ちてくる。
美しいと思った。

そして、少し硬い表情をした早太郎さんがなによりも綺麗に見えて、
「こちらこそ、よろしくお願いします」
声が少し、震えてしまった。


「そういえば俺、もう早太郎じゃないよ」


わたしが楓から楓花になったように、前世と今では名前は変わる。

「俺の名前は、篠原 梁太郎。
君の名前は?」

「私は楓花。一条 楓花!」

お互いの名前を知ることから始まる不思議な恋。
二回目の人生を、また貴方と描ける。

「また、会いたいな」
私の小さな囁きに、
「それじゃ、LINE交換しようよ」
やけに現代風な返事をもらって驚くけれど、
幕末と違って今はかつて彼が命を落とした池田屋事変のようなものはなかなかないし、
生きやすくなっている。

幸せな未来を想像して、思わず笑がこみ上げてきた。


「今度は一緒にいたいなぁ」

流れる時に彼とこの身を委ねたい。