小さな村の大きな話




3日後


「あ、樹ちゃん……。
なんか久しぶりだね」


「あー、うん。ちょっと忙しくて…。
……なんか壱…やつれた??」



そういう樹ちゃん自身もあまり顔色が良くない気がする。



「…そんなこと、ないと思うけど…」


「りんと喧嘩でもした??」



この子、こういうとこ鋭いんだよね…。



「図星でしょ。今度はなんで喧嘩したの??」


「実は―――



樹ちゃんに洗いざらい吐いた。
あちゃー…と額を抑えて呆れている。
そりゃそうだ。自分だって思う。なんでもっとうまく言えないんだろうって…。




「どっちもどっちだなー…」


「…あの、お願いがあるんだけど」


「……説得??」


「よくわかったね…」


「よほどの鈍感じゃなければわかる」


「……なんかすみません」


「りんの話を聞いてないのに壱の言葉だけで説得はできないよ」



そうだ、出会ったときからそうだったな…。
この子はいつも筋が通ってて、自分の正しいと思ったことをする。みんなに平等であろうとする。



「わかった。ありがとう」


「お礼言われるようなこと、まだ何もしてないけど」