「んーっ!!気持ちいい!!」



少し気温は高いけど初夏の風が心地良い。
この村は山に囲まれてるから新緑や若葉の匂い。
ベンチに座っみると穏やかな気持ちになれる。



「ねぇねぇ、君!!」


「わ、私ですか??」


「そうそう!!」



……誰??



「ちょっとお茶しない??」


「え、いや結構です」


「まぁまぁ、そう言わずに!!」



腕を掴まれて引っ張られる。



「あの、やめて下さい…」


「大丈夫、すぐそこだから」


「…離して、下さい」



パシッ



「嫌がってるの、わかりせんか??」



な、なんで……。
この人が、ここに……??



「……咲座、さん…」


「ふーん、君も一緒にお茶する??
目つきは悪いけどよく見ると可愛いじゃん」



咲座さんの顎を掴んでぐいっとあげる。



「汚い手で触らないで、気持ち悪い」


「汚い、手??」



男の人は目をぱちくりとさせて驚いている。



「ははっ、ひどいな……。
ちゃんと洗ってるんだけどなー」


「帰ってくださる??
断るなら実力行使しても構いませんが……」


「は??何か勘違いしてるみたいだけど君は所詮女、しかも餓鬼。
その子にいたっちゃ病人でしょ??
ちょっと遊ぼうって言ってるだけなのに。
あーあ、残念。大人しくついてくれば痛い目見なくて済んだのにね」



ぐっと咲座さんの胸ぐらを掴んだ男の人は一瞬で宙を舞って地面に叩きつけられていた。



「っつ!!」


「私なんかよりもっと怖い人、お呼びいたしましょうか??」



男の人は逃げるように走り去って行った。
いや、逃げたんだけどね。



「さ、咲座さん…その、ありがとうございます」


「勘違いしないで下さる??見てて気分が悪かっただけですわ」


「で、でも…えっと…」


「はぁー。
あなたも嫌ならはっきりそう仰れば??
そういうおずおずとした態度が人に漬け込まれたり、人の神経を逆撫でしたりするわけ」


「は、はい。すみません……」


「じゃ、これで失礼するわ。
あなたにかまっている暇はないの」


「す、すみませんでした」


「ほら。また、おずおずと謝る」



苛立ったように、ふんっ鼻を鳴らして咲座さんは病院の中へ入って行った。