小さな村の大きな話



「「行ってきまーす」」



マンションのエレベーターに乗って下まで降りる。



「私が泊まってる部屋って樹ちゃんのお父さんの部屋なんだよね??何のお仕事してるの??」


「医者だよ。錦と同じ心下医」


「そっか…」



チーン!!

エレベーターが1階までついて扉が開く。



「りんの親は??」


「私の両親はずっと海外を飛び回ってて…。
仕事は…―――


「……ごめん、無理に聞こうってわけじゃないから」


「ううん、気を使わせちゃってごめんね!!
…パパはデザイナーなの。ママはモデル。
佐々木らん、って知ってる??」


「ごめん、私テレビとかあんまり見ないから…」



そう言って樹ちゃんはスマホを取り出した。



「調べないで!!」


「あ、ごめ――


「…あ、こっちこそ、ごめん……。

……私ね、前の学校でママの事で色々あって…。
ママは明るくて…美人で…。
でも私はこんなだから……それで……」



やばい、思い出したら嫌な思い出と自己嫌悪で泣きそう……。



「……あのね、私の母も明るくて優しくて…。天真爛漫ってあの人のためにある言葉だと思う。
私と外見は瓜二つ。
でも、私は友達も少ないしあんまり明るくないし」


「そんなことっ!!」


「でもね、私は私。あの人じゃない。
りんもそうでしょ??」



強い目……。
私は…卑屈になって、暗くなって…閉じこもってるだけ……。
なんで樹ちゃんは…こんなに強いんだろう…。