「いってきます」


「いってらっしゃい」



…はぁー…
ママとは仲が悪いわけじゃない。むしろ、良い方だと思う。
予定が合えば一緒に買い物に行くし、二人で台所に立つ機会も多かった。



「おはよう、本田」


「げっ…」



バスに乗った途端、いじめが悪化した原因に声をかけられた。
彼は、えーっと、確か…
青柳くんだ。



「あれから、咲座の様子はどう??」


「なんともないですから」


「何ともないってことないだろ!!」


「放っておいてください、青柳君には関係のないことですから」


「俺さ、実は本田の事好きなんだ」


「…は??」


「だから、関係のないことなんて言わないで」


「えっと、その…」



どうしようっ!!!



「今すぐ付き合ってとか言わない。頭の片隅でいいから、俺の気持ち、覚えておいて」



バスを降りて教室に向かう。
足が重たい…




「黎華様が呼んでるわよ」


「え、あ、はい」



ドンッ



「早く行けよ、トロいんだよ」


「ご、ごめんなさい」







「朝のバス、楽しそうで何よりですわ」



……つまり、見られた…と。
あぁ、終わったな、私の学校生活。