そうやって過ごしているうちにあっという間に1月になって、あたしが、カプチーノの作り方を習い始めたころだった。

「うちで働く気、ないかい?」

マスターのその一言で、あたしはここに就職しようと思った。
単純だけど、それでもよかった。
この静かなカフェテリアで働けるなんてって舞い上がった。

高校3年生の卒業間近に進路変更なんて大それたことできないって思ってた。
でも何とかあたしは今こうして、ここで働いている。

『明日のことなんて誰にも分らない』
ほんとにその通りだなって。

そして、働き出して半年が過ぎたころ、マスターが『何か新しいことができないか』と考え出した。
なんでも、こんなに若い子がいるのに、それを活かせてない気がすると言いう。

ふと、学生の頃を思い出して

「相談に乗ったりとか?」

そう言った。

高校生の頃は、よく友達の相談に乗っていたことがあった。
主に恋愛相談。

あたしのアドバイスのおかげで彼氏ができたという子もいたりとかして、懐かしいなぁなんて思た。

「なるほど。」

そう言ってマスターが、近くに置いてあったメモとペンをとり、何かを書き始めたかと思うと・・・

『恋愛カフェテリア―どんな恋の魔法のオーダーも承っています―』

と、書店にあるようなポップ風に書いた紙を

「どうですか?」

と言いながら見せてくれた。