ここだけの話、唯が手に入るならコートなんてどうなってもいいのに、責任感からか引き下がらない。

街灯の明かりの下で、汚れを確認しようとして近寄る距離に気がつかない。

あぁ…
こんな近い距離に唯の顔があって、なんの試練だと罵る。

まだ、潤んだままの瞳が愛しく、香水でもない唯から香る女の香り…

多分、髪からの香りだろう⁈

好きな女が腕の中にいて、無意識に煽られて

平静ではいられない…

湧き上がった欲望…が、声に出ていた。

「……ゆい」

彼女の名を呼んだだけなのに、腕の中で砕けたように唯がふらつき抱き留めた。

うそだろ⁈

体の力が抜けたようで立つのもままならないから、俺の胸に寄りかからせると、更に縮まる距離に

俺の理性が飛んだ…

傷ついている唯に漬け込んで

「浮気された事なんて忘れさせてやるよ」

言い訳を用意して、彼女の唇に触れた。

重なる唇に抵抗を見せないのをいい事に、俺はキスを続ける。

触れるキスから唇を食み、甘く唇を噛んで彼女の情欲を誘う。

濡れた頬についている髪が邪魔で、耳に髪をかければ微かに反応を示した体。

もっと…もっと、俺を意識しろと耳への愛撫続けた。