信じてみると新ちゃんに宣言したばかりなのに、先ほど見た光景が目に焼き付いて離れない。

拓真に顔を向けて問いただしてみる。

「信じてってなにを?…彼女でもない絵里さんと腕を組んでいる姿を見たのに浮気じゃないって言うの?」

「それは……ピアスを帰しに来てくれたお礼にって飲みに誘われて、絵里さんにいいお店があるからって引っ張られてただけなんだ」

もっともらしい理由を並べたけど、それで疑いが晴れると思っているのだろうか?

「休みの日にわざわざ会ってまで返す必要あるの?」

「ピアスの忘れ物がないかって連絡がきて、あるよって返事したら大事な物だって言うから」

「プライベートの連絡先を知ってるほど仲がいいんだね」

しまったと顔をしかめた拓真の表情を見逃さなかった。

「以前…仕事で悩んでいた時に色々相談に乗ってもらっていたから」

「相談って…会社じゃできない相談なの?」

「それは…」

「私とのデートの時に来てたメールも絵里さんからでしょう?私、彼女なんだよね?絵里さんじゃなく私に相談してほしいかったよ」

「唯に言っても会社の中のことなんてわかんないだろう」

「そうだけど…愚痴でもいいから言ってほしかった」