俺のもう1つの店へ彼女を連れて行く。

それはもちろん思惑があっての事だ…

唯と打ち解ける為にお酒の力を借り、俺を意識させ信用してもらうことが狙い。

後は、吉と出るか凶と出るかはやってみないとわからないが…俺の目的は唯を手に入れることに変わりはない。

その時々の対策は、抜かりないつもりでいる。

楽しい時間を過ごし、からかい混じりに幼馴染から1人の男だと意識させることも忘れず、経営者としての信用も得ただろう。

唯と打ち解けることに成功し、彼女の口から彼氏への悩みを相談されるまでになっていた。

思っていた以上の反応に笑みを殺し、唯の不安を煽ってから不安を取り除くことを忘れない。

気持ちが上昇した唯を見て、そろそろ頃合いだと思った俺は会計をして店を連れ出した。

店を出てすぐに、唯と唯の男が鉢合わせした。

男の腕に女が腕を絡めている姿に唯の表情が強張っていく。

今しがた信じてみると言っていたのに、目の前の光景にショックを隠しきれない様子の彼女を、腕の中に抱きしめ心の中で呟いた。


かわいそうに…こんな男にとらわれてしまって


でも、もう後戻りはできない。

万が一の逃げ場を用意して、俺は彼女の背を押してやる。