新ちゃんの引越しは、店の定休日を利用して行なわれた。

両家に私達の交際を報告すると美鈴さんもママも大喜びだったがパパは、複雑な表情をしていた。

美鈴さんの旦那さんであるコンフォルトのマスター、大輔さんとは昔からの知り合いらしく、頭があがらないのが原因だとママは言っていた。

彼女になった私は、引越しのお手伝いに来ているのに手伝う事があまりなく、私の張り切りも低迷していく。

一緒に選んだ家具が配達され、新ちゃんと話して相談していた場所に家具が置かれていく様子を見ているだけでつまらない。

新ちゃんの洋服をクローゼットにかけようとすると、自分の服だからと彼に奪われてしまう。

リビングでは新たに買い揃えた電化製品に、まさふみさんとゆうやくんが格闘中。

前の住まいはそのまま、まさふみに安く借す事になっていて、そのお礼にとゆうやくんを連れてお手伝いに来ていたのだ。

「唯ちゃん、レンジはどこに置く?」

「うーん、ここら辺かな⁈」

指差し、力仕事をゆうやくんにしてもらった。

暇を持て余していた私には天の声で、キッチンでの私の仕事を次々見つけ、お揃いでかった食器類を洗い拭き終えるとそれぞれを棚にしまっていく作業に時間が過ぎていった。