最初に部屋に招待された時の喜びを忘れてしまったようだ。

「よし…これからは彼の部屋に行ったら、毎回はダメだけど忘れ物をしてきてね…そのピアスとか目のつく場所に化粧品とか置くのもいい。それが当たり前になってきた時、奴は油断するはずだ。俺の方の準備も急ピッチで進めて忙しくなるから連絡先教えてくれない?」

首を傾げ、どうしてと不思議そうにしているから…

「…この店はまさふみに任せて俺は別に店を出すことにしたんだよ」

「そうなの?」

「そうなんだ」

「それって、唯さんと関係してたりして…」

「感がいいね。俺の行動は全て唯を幸せにする為だからね。もちろん、絵里さんにも幸せになってほしいからだよ」

本当のなかに、嘘も半分…

奴を懲らしめる事は隠した。

話してしまえば、絵里さんの協力はなくなるだろうと思ったからだ。

それから絵里さんとは、メールだけのやりとりだけになり、唯と奴が久々に会う事を知った彼女は連絡してきた。

そして、いよいよ決行日の前日

会社の同僚をうまく誘い、奴の気を別の方向に向け、絵里さんの存在を知らしめる物をいくつも用意してきたらしい。

唯が、傷つくのはかわいそうだが、俺が側にいる。

彼女の心が俺に向けば全てうまくはずだと不埒な企みが始まった。