あの日から絵里さんが来店する日が減り、久々に来店した彼女は機嫌が悪い。

「ねぇ、男ってどうして馬鹿なんだろ?」

ビールを一気にあおり、最初の一言がこれだ。

「俺も男なんだけど…」

「知ってるわよ。だから聞いてほしいの…家に招待されてから頻繁に会えるようになったけど、割り切った関係の女に依存してあれしろこれしろって求めるのはどうかと思わない?」

「…それだけじゃなんとも言えないよ。何を言われたの?」

「シャンプーがないから買ってきてとかは、まだいいわよ。でもね、冷蔵庫に何もないから買ってきてよって何?家に行って彼の為にご飯作って、その後はエッチしてバイバイ。掃除してほしいから来てとかで行った後、ベッドに押し倒されて行為が終われば帰っていいよ。腹立つ…そこまで頼むなら彼女にしてよって感じ……おかわり頂戴」

一気に怒りで捲し立て、喉が渇いたのだろう…

新しくビールを注いだグラスを出しながら話しかける。

「俺は忠告したよ。都合よく利用されてるって言ったよね。そんなダメな男を選んだのは絵里さんだよ」

きつい言い方かもしれないが、彼女の協力を得なるならこのチャンスを逃す訳にはいかないのだ。

「わかってる…だけど、好きなんだもん」