面倒な事をしたくない俺と意見が合わないので、唯に話をふってみると、俺とお袋が納得する以上の案をすぐに考えだした。

唯を溺愛しているお袋は、ご機嫌になり即決でその案を採用する事にしたのはいいが、細かい事は人に丸投げにしてきた。

まったく、いい加減にしろよと言いたいところを、唯の様子がおかしいのはお袋も気がついていたらしく、唯を送る口実を作ってくれた事に感謝。

俺は、断る間を与えずに唯の鞄を持って先に外に出て車に向かった。

追いかけてくる唯は、きっと、俺から鞄を奪い返して、そのまま1人で帰ろうとするだろうと思った俺は、車の中に鞄を放り投げ、彼女と問い詰める。

俺の不安は的中し、彼氏と会ってくると言う唯を1人で行かせる訳にはいかない。

寄りを戻されたら、今までの俺の計画が無意味になってしまう。

勝負に出た俺は、唯の心を揺さぶる事にした。

「お前の好きな男は、俺だろ」

潤んだ目は、もう答えが出ているのに声に出して言わないのは、余計な事を考えているからだろう⁈

「何も考えるな…唯、心のままに俺に堕ちてこい」

ぎゅっと下唇を噛んだ唯

「…新ちゃんが、好き……」

やっと、聞けた言葉に心の中でガッツポーズをしたのは内緒にしておこう。