「そんな慰め方じゃ足りない」

「じゃあ、どうすればいいの?」

「そうだなぁ⁈…仕事が終わったらお疲れ様って言いながらぎゅっと抱きしめてほしいかなぁ」

「…そんなことでいいなら」

「約束だからな」

何を言われるのかとドキドキしていたが、抱きしめるぐらいならと安易に考えて約束してしまった。

眼鏡をかけ直す新ちゃんに見惚れていると、私の視線に気がついた男は図々しく囁く。

「眼鏡かけてる俺ってかっこいいだろう…」

…確かに、見惚れていましたけど

「自分で言う?眼鏡姿を見たのは、再会した日以来だから見てただけだよ。目は悪くないよね?」

「あぁ、伊達眼鏡だけど、色々と眼鏡かけてる方が仕事しやすいんだよ」

眼鏡の向こうで微笑む表情が、普段より男前に見えてやきもきする。

「色々って?」

「色々」

ニヤッと笑い、おうむ返しで返す男に唇を尖らせて睨んだ。

「…やだ…」

「なにが?」

意地悪く訳知り顔で聞き返すのが腹立たしい。

「…だから、その…眼鏡姿、似合い過ぎなの。お客で来た女の人が新ちゃんを好きになったら困る」

恋人になったばかりなのに、まだ、いもしない人にやきもきを焼くなんて心が狭いかな?