唯と俺の前に現れた男は、唯の心を取り戻そうとやってきたらしいが、そんな事させない。

何が修復したくてだ…

修復なんてさせるものか…

「修復ね…一度壊れたら同じように戻んねーよ」

俺の言葉は唯の気持ちを頑なにさせるのに十分なようだった。

心の奥底で、笑みを浮かべながら言い合う２人の様子を伺う俺の前で

「…いつも俺は誰かの代わりだった。…それが誰だかわかったけどな」

と言いながら俺を挑発的に見つめてくる男は、唯の表情が変わった事に気がついていない。

ヒントをもらいナゾナゾが解けたようにハッとしたように目を見開いている。

それなのに、諦めていない男は、唯に罪悪感を持たせる為に浮気した原因を並べ始め、必死になって言い訳し好きだと言うが唯の心はもう動かされない。

「唯を好きな気持ちは誰にも負けない」

挑戦するように俺を見る男。

誰に向かって言ってるんだ？

お前から唯を取り戻す為に、念入りに準備してきた俺が、お前に負けるはずがないだろう…

だから…

それ以上何も言わせないように最後のトドメを刺す。

「寄りを戻すかどうか決めるのはこいつだ。男らしくこいつの答えを待ってたらどうなんだ？」