「……この鏡は、おまえが持ってろよ」

「でも、いいの? 持ち出しても……」

「…いいんだ。次にこの家を継ぐのは、僕だ。だから、ここにある全部もいずれ僕の物になる…」

幼くして、既に当主然としたオーラを放っていた兄に、コクリと頷いた……。


……あの時、兄から受け取った鏡は、今も僕の部屋に掛かっていた。

銀の装飾が周りに施された、アンティークの四角い鏡は、

見ると、いつもあの頃を懐かしく思い出すようだった……。