エレベーターから降りて、ふと後ろを振り返って見ると、

相変わらずその男の人は眉をひそめたままで、私の方を睨むようにも見ていた。

そんな顔で睨まなくても……と、感じる。


あの人が、お店では優しく柔らかな物腰だった秋冬さんと、同一人物なのだとして、

普段はあんな風に偉ぶって愛想がなくて、もしあっちの方が本当の顔なんだとしたら……、

なんだか、ちょっと寂しくも思えてくるみたいだった……。