9歳の時に死んだと思われていたななの従弟。

何を考えているのか分からない常時寝不足のような大きな目、常にボーとしている美少年。

もともとは大企業の御曹司だったが、会社は倒産、莫大な借金を抱え一家心中したと思われていたがこれは間違い。

確かに両親は一家心中で亡くなったが息子のながれだけは生き残り、世界各地の紛争地帯を渡り歩いていた。

遺伝なのか何なのか、ながれは戦闘狂であり、その力を利用しようとした政府が味方の兵士を殺さないことを条件に戦場の殺人兵器として送り込んだ。

敵の兵士は殺し放題で殺人兵器として抜群に実力は発揮していたが、どこに行っても兵器扱いしかされず、「殺人兵器に人権は存在しない」とした非人道的な行いを受け、どこの部隊でもたらい回しにされてきた。

味方の兵士を大量虐殺したとして特別戦犯刑務所に収容されそうになっていたところを、偶々紛争地帯を査察に訪れていたななが発見し、日本に連れ戻した。

しかし、日本では滅多に戦争は起きないため、組織に入れ『フリークス』として活動させることを説得、晴れてながれは『フリークス』の一員となった。

日本に連れ戻した際、ながれが紛争地帯では食べられる物はどぶねずみでも野良犬でも人間の死体だってなんでも平気で食べたと言うので、レントゲン、MRI、CT、血液検査、精密検査、精神鑑定、脳波など、全身隅から隅まで調べ尽くしたがどこにも異常は見当たらなかった。

つまり、普通の人間の思考回路と同じ、呼吸をするのと同じ感覚で殺人を行っていたのだ。

呼吸をするのに罪悪感など感じるはずがない。ながれにとって、殺人とは普通のこと、当たり前のことでしかなかったのである。

この精神構造はサイコパスに非常に酷似しているが、精神鑑定の結果、サイコパスではないことが証明された。

サイコパスではないということは逆にいえば、日常生活を普通に送るにあたって非常に恐ろしいということであり、まさに“化け物”の異名をとるに相応しい。

呑みこみが早く、教えられたことは見よう見まねでやってもほぼ完璧にマスターする生まれながらの天才肌。

五番目の『フリークス』“魔物”。




「…ん?これ、殺していいの…?やった…。僕と一緒に遊んでよ…」