side筑紫 藍(私)
私には親友がいた。親友のまま関係が変わることのなかった私たち。
恋をしていた。
四月桜の舞う中私と彼は出会った。
初恋だった。本当に大好きだった。
告白しようと思っていた。
…それなのに。なぜ、あの時。
五月、私は余命宣告をされた。末期の癌だった。もって六月の終わりまでだと、そう告げられた。
彼を悲しませたりしたくなかった。
自分に残された時間がどんどん少なくなって行く中、どうしたら彼に心配をかけずに済むか、そればっかり考えていた。
怖かった。死んでしまうのが、只々怖かったのだ。死んだら彼との関係はどうなってしまうのだろうか。死んだらもう彼とは逢えないのだろうか。
六月になり、どんどんやつれていく自分をみると、もうあまり時間がないのがよくわかった。せめて最後までごく普通の毎日を送りたい。彼に心配をかけたくない。せめて最後まで隠し通したい。
死への恐怖に怯える一方で、彼への思いは募るばかりだった。
梅雨に入った。
残された時間は、あと二週間というところだろうか。
だいぶ話すのも辛くなってきたし、できれば動きたくもない。
でも
でも
彼にだけは心配をかけたくなかったから。
梅雨が明けた。
かれにさよならは告げなかった
告げられなかった、
デートの帰り、笑って
バイバイ!って精一杯言った。
心配かけなかったかな。
その日。
私は密かに息を引き取った。
精一杯言ったバイバイが、最後の別れになった。
私には親友がいた。親友のまま関係が変わることのなかった私たち。
恋をしていた。
四月桜の舞う中私と彼は出会った。
初恋だった。本当に大好きだった。
告白しようと思っていた。
…それなのに。なぜ、あの時。
五月、私は余命宣告をされた。末期の癌だった。もって六月の終わりまでだと、そう告げられた。
彼を悲しませたりしたくなかった。
自分に残された時間がどんどん少なくなって行く中、どうしたら彼に心配をかけずに済むか、そればっかり考えていた。
怖かった。死んでしまうのが、只々怖かったのだ。死んだら彼との関係はどうなってしまうのだろうか。死んだらもう彼とは逢えないのだろうか。
六月になり、どんどんやつれていく自分をみると、もうあまり時間がないのがよくわかった。せめて最後までごく普通の毎日を送りたい。彼に心配をかけたくない。せめて最後まで隠し通したい。
死への恐怖に怯える一方で、彼への思いは募るばかりだった。
梅雨に入った。
残された時間は、あと二週間というところだろうか。
だいぶ話すのも辛くなってきたし、できれば動きたくもない。
でも
でも
彼にだけは心配をかけたくなかったから。
梅雨が明けた。
かれにさよならは告げなかった
告げられなかった、
デートの帰り、笑って
バイバイ!って精一杯言った。
心配かけなかったかな。
その日。
私は密かに息を引き取った。
精一杯言ったバイバイが、最後の別れになった。

