「好き…」

愛ちゃんが、小さな声でそう言ったのを俺は聞き逃さなかった。

でも、最初は何を言っているのか理解出来なかった。

その、「好き」は、誰に対して言っているの?

俺なのか?

色々と自惚れてしまう。

だから、違うなら違うと言ってほしい。

なのに、愛ちゃんは逃げてしまった。


俺は、教室から出て、愛ちゃんを探した。

どこ…?

廊下で佇んでいる愛ちゃんを見つけた。

「愛ちゃん。来て。」

俺は、愛ちゃんの手を掴んでもう1度空き教室に戻った。

「ねぇ、愛ちゃん。」

俺がそう呼ぶと、ビクッと震える愛ちゃん。