混沌の彼方


もうすぐ春本番を迎える

水色の風が僕の髪を優しくゆらす。



僕は

初めて褒められた時

怒られた時

くしゃみをして笑われた時

長い本を一冊読み終えた時


どうでもいいことを

とりとめもなく思い出した。



そして

何度も何度も何度も

涙を流した。

もちろん,悲しいなんて感情は

かけらもなかった。

ただ勝手に流れていった。

悲しい感情もないのに

涙がでるなんて知らなかった。



人間たちが感情を恐れるのも

何となくわかるきがした。