は、入りづらい……
小夜ちゃんに手伝って貰って淹れたお茶を持って私は客間まで来ていた。
ここへ来るまでは憂鬱だったけどまだ殿と会えると心が弾んでいた。
でも目の前まで来てそれはすっかりなくなってしまった。
何か物凄く重苦しい空気が漂ってるんだけど!
ここだけ違う世界みたいだ。
中で誰かが話しているのは微かに聞こえるけどそれがより一層気まずくさせる。
ええい、このままここにいてもどうにもならないじゃない。
ガッツよ私!!
自分に言い聞かせて襖に手をかける。
「失礼し「スパーン!!」
勢いよく開けすぎて大きな音が響いた。
沈黙が流れる。
や、やってしまった。
せめてゆっくり開ければ良かったのに!
部屋には殿と陶さんと民部君がいて、みんな何事かとこちらを見て驚いている。
「えっと、そのぉ、お茶を持って来たんですけど……」
何か言わなければと話したがこの空気に耐えられずどんどん声が小さくてなっていく。
「あぁ、ありがとう」
殿がニッコリ笑って言葉を返してくれた。
それを見て私もほっとした。
「ここに置いて貰ってもいいか?」
「あ、はい!」
ゆっくりと襖を閉めてから殿に言われた所にお盆を置く。
そのとき民部君の横を通ったけどまだ驚き顔で固まっていた。
「ど、どうぞ」
緊張して震えつつも何とかお茶を淹れて殿の前に出す。
するとニッコリ笑ってポンっと頭を撫でられた。
顔が赤くなる。
内心では凄く嬉しいものの人がいるまえでやられるのは凄く恥ずかしい。
