「随分髪が伸びたな」
梅雨に入り雨が多くなった頃。
今日は珍しく晴れて、久しぶりに林へ来ていた。
隣で寝転んでいた殿が私の髪を触っている。
「そういえば……」
ここに来た頃は確か肩につくかつかないかぐらいの長さだった。
今は鎖骨にかかるくらい。
起き上がった殿は何か面白いことを思い付いたようにニヤリと口角を上げた。
「そういえば最初に見たときは男子と間違えたな」
「余計なこと思い出さなくていいの!」
「そうか?」
楽しそうに笑う彼につられて私も口元がほころんだ。
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