桜ノ蕾







「ライ!!!」









目の前がいきなり明るくなった。

反射的に瞑った目を恐る恐る開ける。





「あ……」





ボロボロと涙が溢れる。



「ライ! 無事か?!」

崖の上からいっぱいに身を乗り出す人。
満月に照らされキラキラと輝いて見える。


「殿……」


掠れた声でそう言うと、彼は飛び降りて私のもとに駆け寄ってきた。
私を抱き抱えて頬をゆっくりとなぞる。


「大丈夫か? 痛いところは?」


殿は凄く苦しそうな顔をして私の顔をのぞきこんだ。
まるで殿の方が痛いみたい。


私は口元を緩めて殿の胸に頭を預けた。


「大丈夫。来てくれてありが、とう……」



殿の温もりに包まれて私は意識を手放した。