桜ノ蕾







『――ライ』





私を呼ぶ彼の笑顔が脳裏をよぎった。


バッと目を開ける。
その瞬間に涙が溢れ出てきた。



私のことをライと呼ぶあの人。
いつも子供みたいな笑顔で私をからかっていた。


あの笑顔をもう一度見たい。
あの少し冷たい手で触られたい。


まだ言っていないことが沢山あるのに。


ヒドイ事言ってしまってごめんなさいって。
貴方のことが好きなのよ、って……


そう言ったらいったいどんな顔を浮かべてくれたんだろう。






困った顔をしたかな?

いつもの無邪気な顔?

それともたまに見せるあの優しい笑顔?








あぁ、あの人にもう一度……







「会いたい……」