桜ノ蕾




次に目を開けると周りは真っ暗になっていた。
ただ、今日は満月のようで遥か頭上の木々をうっすらと照らしている。



いったいどれだけ気を失っていたんだろう。

雨で水を含んだ着物が肌に張り付く。
もう少しも体を動かすことが出来ない。





私このまま死んじゃうのかな?





小夜子と秀の顔が浮かぶ。

私がいきなりいなくなって心配してるだろうな。
せめてもう一度会いたかったなぁ。




次に浮かんだのは小夜ちゃんの顔。


今頃泣きながらオロオロしてるだろうな。
小夜ちゃんとはもっといろんな事を話したりしたかった。

みんなお世話になりっぱなしだったのに何も返せなかったな。



みんなごめんね。
今までありがとう。






ゆっくりと目を閉じる……