「えっと、誰と誰が?」
「私とライが。そもそもここには私たち以外滅多に人は来んからな」
そういえばここで殿以外見たことな。
「私も紅葉狩りは好きなんだ」
ニっと笑った彼に私はうっと怯んだ。
そりゃ私も好きだから行きたいのはあるわけだけど。
別にこいつが一緒でもどってことないけど。
「わ、わかった! じゃあ約束よっ!」
と言って小指を立てて殿の方へ突き出した。
彼は目を丸くして私の手を見ている。
って、私何やってんだ!!
指切りって私何歳よ!
こいつが唖然として当然だ。
何も言わずにただ私の手を見る殿に、私の顔はみるみる赤くなっていく。
いたたまれなくて恐る恐る手を戻そうとした。
が、それを殿の手がそれを阻んだ。
「ああ。約束だ」
そう言って微笑んだ。
からめられた小指がどんどん熱くなっていく。
それと同じくらいきっと私の顔も真っ赤だろう。
あぁほんと何で私こんなになってるんだろう。
「約束破ったら小夜ちゃんに頼んで本当に針千本飲ますからね」
「ハハ、では絶対にこの約束は破れんな」