「で、お主の名は?」


恥ずかし過ぎる運ばれ方をして連れてこられたのはさっきの部屋。
今私は男と向かい合って座っている。


「村上桜」


それを聞いて彼はいきなり吹き出した。


「ちょっと! 人の名前聞いて吹き出しすなんて失礼じゃない!」


私が噛みつくと、彼の笑い声がいっそう大きくなった。



なんなのよっっ!!



「ははっ、すまぬな。また大層な名だったのでつい、な」

「どういう意味よ?」


ムッと眉をよせる。

初対面の人に名前を指摘されるなんていい気がしない。


「あのような美しい花を咲かすにはまだ早すぎる。お主はまだまだ子供だ。それに……」


そこで言葉を切って、彼はあろうことか私の足を手で軽く撫でた。


「っっ!! な、何するのよ!!」


後ろに飛び退いた私を見て、彼はニヤリと笑った。


「こちらもまだまだだな」


なんなの?!
こっちってどっちよ!!


怒りと恥ずかしさで顔が真っ赤になる。
この人にはデリカシーってものがないわけ?