え、もしかして偉いひとなの?
てゆうか今殿って……


「まさか私を助けてくれたのって貴方?!」


こんな失礼な男に私は助けられたの!?


唖然としていると、男は小夜ちゃんの方へ近づいた。


「これの世話をしていた者か?」

「はいっ!」

「部屋までは私が連れて行く。お主は仕事に戻れ」

「か、かしこまりました」


何か物みたいに呼ばれた気が……
て、えっ?


「小夜ちゃん行かないで!」


気がづくと小夜ちゃんは申し訳なさそうに頭を下げて何処かへ走って行った。
バッと男の横を見てみるけど、あの男の子もいつの間にか居なくなっていた。



まさかの二人きり……



そっと男を見ると、ニヤリと意地悪く笑った。


「と、言うわけだ。部屋に戻るぞ」


どういうわけよ。


キッと睨んでやったけど男は全く気にする様子もなく私に近づいてくる。
そしていきなりヒョイっと私を持ち上げて自分の肩に乗せて歩きだした。


「っっっ」


お尻に手が当たってるんだけど!!!


肩に担がれているのだから少しは当たってしまうのは百歩譲って認めよう。
これが今までの服装だったら諦めていた。
でもっ!!


今私、下着を着けてないのに!!!


今の服装は薄い着物一枚だけ。
その状態で触られてるってことはほぼダイレクトに触られてるのと同じだ。


「下ろして! 自分で歩けるからっ」


背中を叩きながら必死に訴えるけど、男は聞く耳持たない。





――あぁ、私もうお嫁に行けない……