頬に水が当たる感触がする。
重たい目を開けるとピンクの花びらが目に入った。
体が重い……
全身が鉛みたいで全く動かない。
目線だけ動かして周りを見てみると、そこには並んでいたお墓も、私を受け止めていた秀もいない。
ただ、満開の桜と大粒の雨があるだけ。
「何なの…これ……」
自分が置かれている状況が全く理解出来ない。
ココはどこ?
一体どうなったの?
秀は?
不安と恐怖がどんどんと膨らんでいき、それと同じように雨も激しさを増していく。
髪の毛も服も身体も全て濡らして、私の体温を奪っていく。
また、意識が遠くなっていく。
「死ぬのかな…私……」
呟いた声は弱々しく掠れていた。
遠くから足音と人の声が聞こえたきがする。
そこで、私の意識が途切れた。