「そろそろ戻るか」 そう言って立ち上がった秀は私の方に手を差しのべた。 「ねぇ、時間大丈夫かな」 「ん? 大丈夫だろ」 引っ張ってもらって立ち上がり、その場を後にしようとした。 その時。 『ライ……』 突然後ろから声が聞こえた気がした。 バッと後ろを振り返ったけどそこには誰もいない。 「どうした?」 隣の秀は不思議そうに私を見ている。 ――聞こえてないの?