乙姫様の恋煩い

…一方、その頃。


ある建物の一室にて。

建物の主人である絶世の美女が、物憂げに呟いた。



「あの方が去って、今日でもう12年、か…」


今頃、何をしてるのかしら。


はあ…とため息をついて、わたしは今日もいつも通りに、書類作成に精を出す。

ふと、書類の塊の隅に追いやった封筒が目に入った。


封筒には、『特別神会のお知らせ』と記載されている。


「…あ、もうすぐ特別神会だ…」


会議という名の女子会に行くのは正直、気が向かない。


また『結婚はまだなのか』ってみんなに急かされるし。


…あの人以外、考えられないのに。


はあ、とまた小さくため息をした時。


「姫様ぁあああああ!」



少し離れた所から、わたしの側近の声が聞こえてきた。