月曜日

「おはよう!ねぇねぇ聞いた?春風さんの新曲。」

「聞いた聞いた!本当にかっこかわいいよね!」

いつもと同じ様な朝の教室。少し早めに教室に来たら朝練終わりの女子生徒がいた。
クラスの女子が騒いでいる最近人気の春風という歌い手。
中性的な声で、男も女も魅了する歌声……
だと聞いている。


なんせ本人は私。春野風音。
普段は大人しく、誰とも接さないような地味な私。
歌うと人が変わるみたいだ。
なんて自分で言っても意味ないんだけど。



「私に勝る。私の心を溶かす声は無いのかな。」

窓の外の小鳥を見ながら呟く。

鞄からスマホを取り出し

"歌い手 男性"

と検索する。
一番上に出てきたのは、

『ゆうなみ オリ曲自分で歌ってみた』

という歌い手だった。
「ゆうなみ。」

私は誰かとコラボする事もなかったし、自作の曲とボカロ曲を歌ってるだけ。

イヤホンを取り出し『ゆうなみ』という人のオリ曲。"鏡"を聞いてみた。

♪〜

「!!」

私が今まで聞いてきた中で一番上手いし、一番心地がいい。
心が暖まる。

気付けばHRの時間だ。
イヤホンとスマホをスカートのポケットに入れ、退屈な先生の話を聞いた。