君の星、僕の星

「はい。」

松田先生は中を漁り、何か取り出して私に差し出した。


「え?」

「あ、さすがに一個全部は多いよね。半分ずつにしよう」


彼はそう言うと袋を開け中身を取り出し、迷いのない手つきで二つに割った。
乾いた部屋にぱきん、と気持ちいい音が響く。


「何ですか?これ」

「何って。アイスじゃん」


ははは、と笑った先生はさっそく自分の分にかぶりついている。
手渡されたチョコモナカのアイスクリームで指先が冷えていく。


「さっきさ、吉川先生に頼まれて明日の授業で使うもの買いに行ったんだけど。お釣りでアイス買っちゃった。で、ここで冷やしてた」

「えぇっ」

「ナイショね。ほら、早く食べないと溶けるよ」


慌ててアイスを口に運んだ私を松田先生が眩しそうな顔で見ている。
前歯でかじった一口分が、ゆっくりと舌の上で溶けていく。


社会科準備室に足を踏み入れたのは初めてだ。


二人で分け合ったアイスは、非日常というスパイスも手伝っていつもより美味しく感じた。


吉川先生はおそらく松田先生の指導役なんだろう。
マイペースな松田先生は職員室でも可愛がられているんだろうな、と思った。

きっとこんなイタズラも笑って許されてしまうくらい。