君の星、僕の星

私をいつもの薬局の前で降ろした後、瀬戸さんは逃げるようにその場を去っていった。

車が見えなくなるまで、私はその場に立ち尽くしていた。


「……」


『無かった事にしてくれないか。』



瀬戸さんの言葉を思い出し、下腹がちくりと痛む。


鞄の中の封筒が重たく感じるのは
お金と引き替えに失ったもがあまりに大きいからだ。


出会い、惹かれ合い、体を重ねた。


そんな二人の全てを
無かった事にしてほしいと瀬戸さんは言った。


これは手切金なんだ。


瀬戸さんを好きだった私の気持ちさえ、このお金で片づけられてしまうんだ。



いつまでも一緒にはいられない。
彼の出す答えなんて最初からわかっていたはずなのに。


あまりにあっけない幕切れに、バカバカしくて涙も出ない。