「達也」
朝イチの講義が始まる時間ギリギリに教室に滑り込み、隣の席に腰かけた。
ノートを広げていた達也が顔を上げる。
「昨日、返信できなくてごめんね?寝ちゃってた」
「……あぁ」
コートを椅子の背もたれにかけ、大きくひとつ息を吐く。
「お前、何か顔色悪いよ」
達也が私の顔を覗き込んだ。
「そう?最近バイト続いてるからかな」
「……あんま無理すんなよ?」
達也はそう言って、またノートにペンを走らせる。
提出期限が近い課題でもあるのだろうか。
そんな事も知らないほど、大学で達也と話す機会は減っていた。
「……ありがと。」
不器用で優しい達也が好きだ。
もちろん、ちゃんと恋人として。
気が付けば告白されてから二年以上が経過している。

