君の星、僕の星

「アンタお昼ご飯食べるの?」

「うん」


母親の問いに頷いた瞬間、ガチャン!と物凄い音がして玄関の扉が開いた。



「あっちー。暑い暑い暑い、」



三歳年下の弟、優也(ユウヤ)だった。
バスケットボール部の練習から帰宅した優也はシューズを床に投げ出し、足音を響かせながらキッチンに入ってくる。


「あ。兄ちゃん帰ってきてる」

「おう。」


優也は冷蔵庫から牛乳パックを取り出し、そのまま口を付けた。
見ている方が気持ちよくなるような、豪快な飲みっぷりだ。

制汗剤の匂いが辺りに漂う。



「あのキャピキャピした彼女元気?」



突然そう聞かれ、キッチンから出ていったばかりの母親に聞かれていないかと振り返る。


「だから。彼女じゃないって」

「だって家に連れ込んでたじゃん」


大学に入って間もない頃、連絡も入れずに俺のアパートに遊びにきた優也と、家で一緒に課題をやっていたアヤが鉢合わせた事があった。
そっくり!とアヤは大袈裟にはしゃいでいた。


「連れ込んでねーよ、勝手に上がり込まれたの。一緒に課題片づけてただけだよ」

「ふぅん。恋人未満、ってやつ?一番楽しい時期だね」


探るような目つきが不愉快だ。

何でどいつもこいつも、俺とアヤをくっつけたがるんだろう。



親子、恋人、友人、知人。



人と人との繋がりに、みんな名前を付けたがる。

でもそうじゃない関係があったっていいじゃないかと思う。