君の星、僕の星

「ごめんな。いつも送ってやれなくて」

「ううん」


玄関で靴を履きながら、先生の声を背中で聞く。

今はただの大学生であるとはいえ、教育実習先の生徒といるところを誰かに見られたりしたらいろいろと都合が悪いのだろう。
それは私も同じだ。


だから一緒に外を歩く事は無かった。
会うのは先生が大学の近くに借りている、このアパートの中だけ。
親友にもナイショの関係だった。


「明日の卒業式にもしてこいよ、それ」


先生が私の手首を指さす。


「ダメだよ、校則でアクセサリー禁止だもん。見つかったら没収されちゃう」

「かーっ、最後まで真面目だねぇ!未央は立派な大人になるよ」


とんとん、とローファーの爪先を床でつつき足を奥まで入れる。



「教育実習先の女子高生に手を出したりしない、立派な大人になります。」



私の言葉に、先生は黙って口の端を持ち上げた。


「じゃあね。」

「明日、学校でな。気をつけて」